一、予選の概況 1、予選評議委員会と選手の概況 2012年5月18日(金曜日)に第7回中華全国日本語スピーチコンテスト西南ブロック予選評議員会議が実施校の四川外国語学院外事弁公室で開かれた。同会議は翌日19日の予選において注意を要するいくつかの問題、例えば、①採点の方法、②予選の日時などについて議論し、要点を決定された。私は日本華人教授会議を代表し、予選評議委員会に参加した。評議委員会は9名の方から構成された。それは以下のとおりである。 主任 王蜀豫教授 四川大学外国語学院日語系主任 副主任 張紀尋教授 華人教授会議代表 委員 徐 頴 大会組織代表、中国教育国際交流協会 委員 山崎貴 日本駐重慶総領事館文化副領事 委員 楊 偉教授 四川外国語学院東方語学院日語系 委員 饒京珍副教授 雲南大学外国語学院東方語系主任 委員 陳芳副教授 貴州大学外国語学院日語系主任 委員 陳愛華副教授 重慶大学外国語学院 委員 李 方副教授 西南大学外国語学院 なお、選手の大学は以下の28校から構成され、一校から一名の選手が選出され、合計28名の選手が予選に出席した。 四川外語学院。重慶大学、川外南方翻訳学院、西南大学、重慶師範大学、長江師範学院、成都理工大学、川外成都学院、電子科技大学、貴州大学、貴州民族大学、貴州師範大学、 楽山師範学院、四川大学、チベット大学、西華大学、西華師範大学、西南交通大学、西南科技大学、西南民族大学、宜濱学院、雲大旅遊文化大学、雲南大学、雲南滇池学院、雲南民族大学、雲南師範大学、雲師大文理学院、重慶三峡学院 2、予選の概況 19日(土曜日)、第7回中華全国日本語スピーチコンテスト西南ブロック予選は四川外国語大学の周到な準備と参加各大学の協力のもと、成功裏に開催された。広々とした四川外国語学院東大会堂には、貴州省、雲南省、四川省、チベットと重慶市の5省、市28の大学から28名の選手が出場し、テーマスピーチ(午前)と即席スピーチ(午後)で激しく競い合った。 テーマスピーチのテーマは「ミニブログと私」と「中国と日本の絆―異文化交流の大切さ」である。他方、即席スピーチのテーマに付いて審査委員が銘々に考えてきたテーマを出し集めて、協議した結果、五つのテーマが決定された。それを封筒に分けて、選手が自ら抽選して、どれか一つ決め、即席のテーマとして発表されることになった。 午前8時半から、会場に続々と人が集まってきた。会場のスクリーンに前回の決勝戦の録画が映し出された。9時に開会宣言が出され、四川外国語学院副学長の歓迎挨拶に続き、日本経済新聞社重慶支局長多部田俊輔、中国教育国際交流協会徐頴がそれぞれ主催側を代表して挨拶し、審査委員会主任で四川大学外国語学院日語系主任王蜀豫教授が審査方法を説明した。また突然ではあったが、私も挨拶に呼ばれ、簡単にご挨拶をした。9時15分ごろから、1号選手が登壇し、いよいよ予選が始まった。 テーマスピーチコンテストは昼の十二時を回ったところで終わり、選手が控え室に集まって、午後の登場順番を決める抽選が行われた。 第二部の即席スピーチコンテストは午後3時からスタートし、一人3分ずつ順調に運ばれて、4時過ぎに終わり、小休憩した後、スポンサーの宣伝広告としてJALの上海支店長らが登壇した。 私は審査委員会の依頼を受けて、全体の講評を行った。私は全体の講評をしたうえで、日本語の学習について今後注意をしてほしい点を強調した。また、日本語の学習にあたり、①中国についての忠誠心、②出身地域についての愛、③出身大学、教員、学生との関係の重要性などについて重要であることを訴えた。私のあいさつに続き、審査の結果が発表された。四川外国学院の選手と重慶大学の選手が勝ち抜いた(写真を参照)。授賞式のあと、関係者全員の記念撮影が行われ、西南ブロックの予選が無事に終わった。 二、予選に参加した印象 第七回の今回は、過去と比べてレベルが高まったという印象を受けた。 第一に選手のレベルがアップし、発音、文法、用語から内容に至るまで各選手とも、過去にない高いレベルを見せてくれた。 第二に、応援者、聴取のマナのレベルもアップした。会場に集まった観客には、携帯電話で話す人は勿論、着信音もなく鳴らなかったし、コンテストの途中、会場を出たり入ったりする人も殆どいなかった。 第三にスピーチの中身が豊かで幅が広くなった。今回のテーマは、例年より時事性に欠け、話題性が乏しいので、やり難いのではと、テーマ設置した時点からずっと心配していた。しかし、選手の発表を聞いて、その心配が消えてなくなった。ミニブログの体験が多岐多様に分かれて、異文化交流の大切さとしては、自分の体験を踏まえたものが多かった。 今回の問題点として、総括講評の中では3つを指摘しておいた。 1、発音の重視、それはイコール日本語という外国語の見方の問題でもある。日本語は簡単だ、発音は自分の故郷訛りと似ているものが多いと、中国の日本語学習者から何度も聞いた。そのような感想の持ち主は、日本語の発音練習に手を抜き、漢字を鵜呑みにする者が多いと比例している。その結果、「な」行と「ら」行の区別ができなく、長短音の別なく、全編中国の何処かの訛りで綴っている「スピーチ」だという恐らく本人以外、誰も分からないものになってしまった。もっと発音からの基礎をしっかり叩き込んで、日本語を外国語として習得する心構えが必要であろう。 2、話術よりも中身、第七回の今回は、前より、パフォーマンスや話術が比べられないほど進歩した。しかし、以前から指摘された中身の問題はまだ改善されていない。 3、現代中国大学の変化を反映し、テーマスピーチの中で大学の恋愛物語が多いことに驚いた。特に選手の一人はまだ18歳なのに自分のボーイフレンドとの関係を熱ぽっく語ったことに閉口した。総括講評でもこの問題について注意をした。 実施会場としては、四川外国語学院はすでに連続7回も担当をしてきた運営のベテランである。今回も会場の整備について問題がなく、特に良い司会者を用意してくれたおかげで予選を問題なく行ったことに感謝した。他方、三菱商事をはじめ多くの日本企業は予選を援助してくれた。選手を支えた教員の努力も無視できない。このように多くの関係者が予選を支えていることは重要なことである。 雲南大学、貴州大学からきた関係者はみんな、今度こそ、本学に一回担当させてくれないか、と意気込みを見せている。本スピーチコンテストの未来を考え、地方の日本語教育振興という意味においても、そろそろ、考える時期ではないかと思う。 但し、雲南大学などとなれば交通の問題がある。東京から雲南、貴州に行くのは重慶と違い、大変多くの時間がかかるからである。土曜日が開催日となれば、金曜日の1日で行けるかどうかは心配である。現に私は金曜日に9時の飛行機で上海に行き、また、12時の飛行機で上海から重慶に行くには午後5時に重慶に着いたので丸1日がかかった。かなりの強行軍で危なかったことを指摘しておきたい。 以上、簡単ながら、ご報告とする。 |